"鬼"上司と仮想現実の恋
「下で飲むのもいいんだけど、その前に
行きたい所があるから、ちょっと出るよ。」

悠貴さんがそう言って、連れて来たのは、水族館のあるホテルのブライダル相談カウンター。

「いらっしゃいませ。
こちらへは初めてですか?」

スーツを着た女性に話し掛けられる。

「はい。」

悠貴さんが答えると、いくつも並んでいるテーブルの1つに案内された。

「ご結婚がお決まりですか?」

と聞かれて、

「はい。」

と悠貴さんが答える。

私は、訳が分からず、黙って隣に座っていた。

今まで、式場のパンフなどは一緒に見たし、日にちもいつ頃がいいなどの話題もあったが、実際に相談に来た事はなかったから。

悠貴さんもそんな事は、一言も言ってなかったし。

「何かお二人のご希望はありますか?」

と聞かれて、

「水族館での結婚式について
伺いたいんですが。」

と悠貴さん。
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