"鬼"上司と仮想現実の恋
「嬉しいです。
私も、いつも自分の部屋に戻ると、すぐに
悠貴さんに会いたくなってました。
ずっと一緒にいたのに、そんな事を思う私が
変なのかな…って思って、ずっと我慢して
ました。」

「暁里…」

悠貴さんの腕がふっと緩んで、肩を掴んで少し離れる。

唇に悠貴さんの温もりが落とされる。

角度を変えて、何度も何度も…



悠貴さん唇が離れると、手を引かれてソファーに座る悠貴さんの膝の上に乗せられた。

「こんなに人を好きになったのは、暁里が
初めてなんだ。
自分でもどうしていいか分からなくて
戸惑ってる。
30過ぎのいい大人が、情けないだろ?」

悠貴さんはそう言って私の肩に頭を預けた。

私は首を横に振って答えた。

「嬉しいです。
私だけが、悠貴さんの事をどんどん好きに
なって、好きっていう感情を止められないで
いると思ってましたから。」
< 332 / 407 >

この作品をシェア

pagetop