"鬼"上司と仮想現実の恋
私は、百合ちゃんの頭をぎゅっと抱え込むように抱いて、

「田中君、バカだね〜。
こんなにかわいい百合ちゃんを振るなんて。」

そう言いながら、百合ちゃんの頭をぽんぽんと撫でた。

「でもさ、私がこんな事を言うのは変かも
しれないけど、田中君は私の事なんて
そのうち忘れるよ。
私、部長と結婚するし。
何があっても、田中君とどうこうなるわけじゃ
ないし。
それは田中君も分かってるから、できれば
百合ちゃんが忘れさせてあげて欲しいなぁ…
って思うの。
田中君も、カッコつけて断ってはみたものの、
今頃、もったいないことしたなぁって
思ってるよ。」

百合ちゃんはおしぼりを手に取って、目元を抑える。

田中君、明日、お説教してやる…
私の心の中では、沸々と怒りが沸いていた。

「とりあえず、今日は、飲もう!」

そう言って、私達は、おいしいおつまみと共にワインを空けた。

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