"鬼"上司と仮想現実の恋
「だけど、田中、もったいない事した〜って、
ずっと言ってた。
変な意地張らなきゃよかったって。」

「え!?」

私達は顔を見合わせた。

「それって、百合ちゃんがもう一回押したら、
なんとかなるかも…って事?」

私が聞くと、

「さあ、それは田中本人しか分からないけど、
俺は当たって砕ける価値はあると思うね。」

と悠貴さん。

「百合ちゃん!!
もう一回、ぶつかっておいで。
ダメで元々なんだから、軽い気持ちでさ。」

「でも…
田中さん、もう私と会ってくれないと
思います。」

うーん、確かに、田中君から誘って来るとは思えないし、百合ちゃんから誘っても素直に「うん」って言うとも思えない。

「だったら、田中に誘わせればいい。」

悠貴さんが言った。

「無理でしょ!?」

私が言うと、

「田中が誘いたくなるぐらい、イラッと
させてやればいいんじゃないか?」

と悠貴さんはにやりと笑った。
< 349 / 407 >

この作品をシェア

pagetop