"鬼"上司と仮想現実の恋
「大丈夫。月極めで借りてるから、何時間
置いても料金は一緒だよ。」

悠貴さんは、笑った。


「悠貴さん…
同棲初日なのに、飲みに行っちゃって、
ごめんなさい。
今日は悠貴さんの晩ご飯、作らなきゃ
いけなかったのに。」

私が言うと、

「そんなの別にいいよ。
料理なんて、暁里ができる時だけでいいから。
暁里は、俺の隣で笑っててくれれば、無理に
いい奥さんになろうとしなくてもいいんだよ。」

と言って肩を抱く手にぎゅっと力を込めた。


悠貴さん、優しい…




私は部屋に帰ると、初めて自分から悠貴さんにキスをした。

「悠貴さん、大好き。」

私が悠貴さんを見上げてそう言うと、驚いて目を見開いていた悠貴さんが、顔をくしゃっと綻ばせて、

「俺も暁里が大好きだよ。」

と今度は悠貴さんから優しいキスが返ってきた。



─── 新年会 Fin. ───
< 352 / 407 >

この作品をシェア

pagetop