"鬼"上司と仮想現実の恋
田中君は、百合ちゃんを連れてきて、私の隣に座らせ、自分は席を1つずれた。

「暁里さん、何ですか?」

百合ちゃんが聞いた。

「何でもないよ。
百合ちゃんがセクハラされてそうだったから、
救出してもらったの。」

「あ、ありがとうございます。」

百合ちゃんは、田中君にお礼を言った。

「別に。
嫌な事は嫌って、自分で言えば?」

田中君は、いつになく不機嫌だ。

「はい。
でも、新人さんにあまりきつく言うのも…」

百合ちゃんが言うと、

「新人だからだろ?
今、言わなかったら、これから毎回
触られまくるぞ。」

「はい。すみません…」

田中君に怒られて、百合ちゃんは泣きそうだ。

「田中君!
悪いのは、触られた百合ちゃんじゃなくて、
触った方でしょ!
ただでさえ、嫌な思いしてるのに、何
虐めてんのよ。」
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