"鬼"上司と仮想現実の恋
「え!?
まさか、車で来たの?
岐阜まで?」

驚いて聞き返すと、

「男2人で交代で運転してましたよ。
百合ちゃんが飲み会の後『行きたいな』って
呟いたら、田中さんが『行くか?』って
言ったらしいです。
で、私たちも誘ってくれたから、便乗させて
貰っちゃいました。」

と桜が説明してくれた。

私は思わず声を潜めて、桜に言った。

「それって、あの2人めっちゃいい雰囲気
なんじゃないの?」

「そうなんですよ。
サービスエリアでも、付き合ってないのが
不思議なくらい ラブラブでしたよ。」

横目で見ると、今も百合ちゃんは田中君のお皿に料理を取り分けている。

私は嬉しくなって、悠貴さんにも報告する。

「あのね、あのね!」

私が興奮して一気に話すと、悠貴さんは、

「田中、金曜か土曜にもうちゃんと
言ったんじゃないか?」

と言う。
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