"鬼"上司と仮想現実の恋
「暁里ぃ〜」

と悠貴さんが言った直後だった。

司会者が、

「それでは、ここで正面のスクリーンに
ご注目ください。」

と言って、照明が落とされた。

みんなの視線が集まると、映し出されたのは、昨日のあの動画だった。

「!!!
悠貴さん!?」

私は責めるように悠貴さんを見たが、悠貴さんは首を横に振って、

「これは俺じゃないぞ。
俺も聞いてない。」

と言った。

私たちのダイアリーが交互に映され、ナレーターの声でやり取りが読み上げられていく。

私は恥ずかしくて、思わず、手で顔を覆った。

上映後、悠貴さんは、

「暁里?」

と気遣うように私の顔を覗き込んだ。
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