"鬼"上司と仮想現実の恋
「悠貴さんは、恥ずかしくないの?」

「なんで?
このダイアリーは、暁里の想いが溢れてて、
俺の宝物だよ。
これがなかったら、暁里は俺と結ばれて
なかったかもしれない。
これには、俺のずるい所は映ってても、暁里は
素直でかわいい所しか映ってないから大丈夫
だよ。」

悠貴さんはそう言って、私の手を握った。

いつもなら肩を抱いてくれるのに、隣同士でも椅子が遠くて、手を握るのが精一杯。

今はそれが寂しかった。

すると、悠貴さんは、突然立ち上がった。

そして、私の後ろに回ると、後ろから私をぎゅっと抱きしめた。

「悠貴さん?」

戸惑う私が振り返ろうと首を回すと、

ちゅっ

と悠貴さんはこめかみキスをした。

「悠貴さん!!!」

突然のキスに私は、抗議の目を向けたが、

「暁里の目が、手だけじゃ足りないって
言ってたから。」

と言ってクスリと笑った。
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