"鬼"上司と仮想現実の恋
「っ!!
だからって、こんな公衆の面前で!!
今日は、いつもの飲み会じゃないんだよ。」

私が怒ると、悠貴さんは、

「周りに何人いようと俺が暁里を好きな
事には変わりない。」

と悪びれもせずに言って、笑った。

「もう!」

私が怒って前を向くと、

「暁里、ごめん。」

と頭にキスが降ってくる。

「っ…もう…」

全然悪びれない悠貴さんに、私も思わず、笑ってしまった。


程なくダイアリーの動画が終わり、拍手が湧き起こる。

側にいた田中君が、

「1人2役って、こういう事だったんですね。
でも、覚えておいてください。
クマさんに失恋して泣いてる瀬名を
慰めたのは、俺ですからね。」

と言って、にやりと笑った。

その瞬間、悠貴さんの顔が悔しそうに歪む。
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