"鬼"上司と仮想現実の恋
「え!? 瀬名をですか?」

「人が足りないのは分かってる。
来年度にはSEを大幅に増員してもらうから、
今年度は今いるメンバーで何とか乗り切って
欲しい。」

部長に言われては、市原課長は反論などできない。

「分かりました。」

「ご迷惑をかけて、申し訳ありません。」

私が課長に謝ると、

「瀬名さんのせいじゃないから。」

と笑ってくれた。

私は抱えていた仕事を桜や他のメンバーに引き継いだ。

「暁里さん、ほんとに営業やるの?
突然過ぎて、びっくりなんだけど…。」

引き継ぎながら、桜が言う。

「うん。
いろいろ悩んだけど、佐久間部長が億単位の
売上を稼げる営業にする…って約束して
くれたから。
そこまで期待してくれてるなら、頑張って
みようかなぁ…と思って。
ダメだったら、また帰ってくるから、慰めて。」
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