"鬼"上司と仮想現実の恋
私は、部長に引きずられるようにして、お化け屋敷に連れてこられた。

私が入り口で尻込みしていると、

「ほら、行くぞ。」

と部長は、私の肩を抱いて無理矢理、中に入った。

「部長、置いてかないでくださいね。」

私が声を掛けると、

「くくっ
怖いなら、しがみついてるんだな。」

と笑う。

「ぎゃっ!」

「ひぃ〜!」

私はかわいくない悲鳴をあげながら、部長の腰にしがみついて、歩いた。

途中、何度も腰を抜かしそうになったが、その度に、部長がしっかりと肩を抱いて立たせてくれた。

冷や汗をびっしょりとかいて、お化け屋敷を抜けると、もう立っているのがやっとだった。

「もう、絶対に行かない。」

私がそう宣言すると、

「ははっ」

と部長は楽しそうに笑った。
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