"鬼"上司と仮想現実の恋

「飲みたいから、車は置いてくる。」

そう言って、部長は一度マンションの駐車場に戻った。

部長は、そこから歩いて5分程の所にあるイタリアンのお店に連れてきてくれた。

「食べたい物あるか？」

「んー、私は何でも食べるので、部長の
好きなもの頼んでいいですよ。」

そう言うと、部長はいくつか適当にオーダーしてくれた。

「アスティ・スプマンテでございます。」

男性の店員さんがグラスに発泡酒を注いでくれる。

「ん！
おいしい〜」

一口飲んで、私は気に入った。

「すごい！
マスカットの香りがします！」

私が喜ぶと、部長は微笑んで言った。

「瀬名が好きそうだと思ったから。」

「あれ？
でも、私、禁酒だったんじゃ…」