"鬼"上司と仮想現実の恋
「残業は、月にどの位ありますか?」

「納期が迫ってくると、60時間を超えます。
仕事は嫌いではありませんが、できれば
その日のうちに帰宅したいです。」

「ふっ」

不意に部長が笑った。

???
何?

「今日、40人以上面談してきたけど、そんなに
はっきり不満を言った奴は初めてだな。」

「あ、すみません!
不満というわけじゃないんです。
残業がもう少し減るといいなぁ…という
小さな願望なので、聞き流してください。」

私が焦って言い訳をするのを部長は楽しそうに見ていた。

「まあ、いい。
聞いたのは俺だからな。
他の奴は、思ってても言わない大人の知恵が
働いたんだろう。」

「…すみません、子供で…」

私が消え入りそうな声で言うと、

「いいんだ。
俺は聞きたかったんだから、正直に言って
くれて助かった。
これからも頼んだぞ。」

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