艶恋婚~御曹司と政略結婚いたします~
「そこの部屋で先に着替えてくるといいよ。疲れただろう」
「ありがとうございます……」
お言葉に甘えて、そうさせてもらおう。
このままでは話に身が入りそうにない。
「着物の箱と、私の服は……」
「その部屋じゃないかな」
彼が先導して、ひとつの扉に向かう。後ろをついて行って、目の前で開かれた扉の向こうが目に入り「うっ」と思わず喉を詰まらせた。
いわずもがな、そこは寝室で、大きなベッドがふたつどどんと置かれていた。
「脱ぐの、手伝おうか?」
扉を開いたまま支えてくれていた葛城さんの声が、すぐ間近で聞こえる。