艶恋婚~御曹司と政略結婚いたします~
「すみません、来週だったと思うけど、でも平日ですよ」
「構わないよ、どうせ俺は休みなんてあってないようなもので、どこかで取らなきゃいけないだけだから。藍さんに合わせる」
「じゃあ、今月のシフトを後で携帯に送ります。それと、また今日みたいな仕事関係で同伴した方がいい時も言ってください。誰かにシフト変わってもらえるか交渉しますから」
「ありがとう、助かる」
そういう約束の上での結婚なのに、ちゃんとお礼も言ってくれる。案外誠実できちんとした人なのかもしれない、と思い始めて。気を許した微笑みで頷いた。
その瞬間、彼の目が少し熱の籠ったものになる。その、瞳の変化の意味を私は知らなくて、膝の上においていた手に大きな手が重なっても、すぐには状況を理解できなかった。