艶恋婚~御曹司と政略結婚いたします~
キスするよりも、あんな風に笑いを取れた方が嬉しいだなんて。
私は関西人か。
昨夜泊まったゲストルームは、もうすっかりいつ私が越して来てもいいように整えられていた。
クローゼットの中に背の低い和箪笥が設置されていて、中には先日もらった振袖とまた別に訪問着もあった。無地のものもあり、お茶会にも使えそうだ。葛城さんよくわかっている。
……じゃなくて。こんなに色々買い与えてくれなくてもいいのに。
どうやら、彼は私の着物姿が好みらしい。
「やっぱり、君は着物が似合うね」
耳元で囁かれれば、ぴんと背筋が伸びる。
レセプションパーティの賑やかな会場で、そんな甘い声を出さないで欲しい。