艶恋婚~御曹司と政略結婚いたします~
晴れやかな色合いの訪問着に、髪をセットアップして花飾りのついたかんざしを差している。


会場は立食形式で、パティスリーカツラギの社員ばかりで賑わっている。
和菓子ブランド『葛城』の一周年記念パーティーなのだから当たり前だが、私は完全にアウェイで居心地が悪い。


ましてや社長に連れ添って現れたのだから、目立って当然だ。
以前の菓子博のパーティーの時は、各メーカーのトップが集まり注目は浴びたが、まだ一般には私の存在は知られていない。


さっきからチラチラと興味津々な目線が飛んできて、それを受け流すのに大変だ。


しかも。


「ごめんね。途中、ちょっと傍に居られないけれど」


恐らく社長としての挨拶や何かがあるのだろう。


「大丈夫です。問題ありません」


心細いに決まっているが、表情を引き締めて頷いた。

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