艶恋婚~御曹司と政略結婚いたします~
俯けば、胸を抑えた手に、青い石の指輪が見えた。
この指輪は、政略として結婚の契約をする証。結婚することで花月庵を守ってもらう、約束の印だ。
これをもらったときは重々理解していたはずで、覚悟の上でもらったはずだ。
まだ、幾許《いくばく》も経っていないのに、あの時と今では心境が違うことに気が付いた。
司会の声と共に壇上が明るくなる。開会の言葉など一通りの挨拶が行われた後、彼が。
葛城社長としての彼が壇上中央に立つ。
低いけれど、耳に心地よく通る声。視線を集める中での、堂々とした佇まい、存在感。人の上に立つべく生まれた人というのは、彼のような人のことを言うのだろうと、ぼんやりと見つめた。
「この秋には、提携企業となった花月庵の協力を得て試作中の和菓子を発表することになります」
初めて聞く事実に、またひとつ胸の痛みを増やす。
この指輪は、政略として結婚の契約をする証。結婚することで花月庵を守ってもらう、約束の印だ。
これをもらったときは重々理解していたはずで、覚悟の上でもらったはずだ。
まだ、幾許《いくばく》も経っていないのに、あの時と今では心境が違うことに気が付いた。
司会の声と共に壇上が明るくなる。開会の言葉など一通りの挨拶が行われた後、彼が。
葛城社長としての彼が壇上中央に立つ。
低いけれど、耳に心地よく通る声。視線を集める中での、堂々とした佇まい、存在感。人の上に立つべく生まれた人というのは、彼のような人のことを言うのだろうと、ぼんやりと見つめた。
「この秋には、提携企業となった花月庵の協力を得て試作中の和菓子を発表することになります」
初めて聞く事実に、またひとつ胸の痛みを増やす。