艶恋婚~御曹司と政略結婚いたします~
パーティが終わってふたりでマンションに戻ってきたのは、午後三時頃だった。
ゲストルームで着物を脱いで、ブラウスとワイドパンツに着替え腰のリボンを結ぶ。
コンコン、とノックの音がした。
「藍さん、今日は疲れただろうから夕食は外に食べに行こうか」
ドア越しに聞こえた葛城さんの声に「はぁい」と返事をすると。
左手につけていた指輪を外し、アクセサリーボックスに戻す。
これは、いつもは着けない。これから先も、婚約者としての私が必要な時だけだ。
そうして、着物には合わなかったので外していたピアスを着けた。
部屋を出てリビングに行くと、彼もカジュアルな服装に着替えてソファでコーヒーを飲んでいた。
私の分のコーヒーもちゃんと置かれている。
「ありがとうございます」
隣に座ると、彼がそっと私の耳朶に触れた。