艶恋婚~御曹司と政略結婚いたします~
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実家からの帰り道、車の助手席に座り、封筒にいれてあった一枚の紙きれを取り出した。
かさ、と手の中で音がする。
随分と薄い紙で繋ぐ絆なのだなあと、破れてしまわないように、そっと丁寧に扱った。


保証人のひとりに、すでに父の名前が書かれてある。
上から順に目を通していて、葛城さんの綺麗な字が一部分だけ乱れているところを見つけ、くすりと笑う。


「……何笑ってるの?」


運転席から、葛城さんがハンドルを操りながら聞いた。
まだちょっと、怒っている。


「いえ、ここが。ちょうど、私が入って来たところかなって」

「城の跳ねるところ? その通り、当たってるよ」


あの一瞬の表情と、その後赤くなった横顔を思い出して、どうしても口元が緩んでしまう。


「そう笑わないでくれる? 本当に驚いたんだよ」



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