艶恋婚~御曹司と政略結婚いたします~
兎も角、性格や礼儀云々よりも、あの人の素性を知りたかったのだが。
やはり両親か兄、もしくはあの人から届くらしい書面を待つしかないのかと諦めかけたのだが。
「あんなに若いのに、カツラギの社長さんなんだからすごいわよねえ」
「えっ! あ、そうなんだ」
ワンテンポ以上遅れて一番知りたかった情報が飛び出て驚いた。
おばあちゃん、それ。それが聞きたかったのよ、と突っ込みは心の中だけにしておいて、バッグからスマホを取り出す。
「カツラギって会社があるのね」
社名で検索すれば出て来るだろうかと入力の途中で、お祖母ちゃんが呆れたように笑った。