艶恋婚~御曹司と政略結婚いたします~
実家に着くまでに、カツラギのサイトを検索する。もしかして、と思いつくことがあった。洋菓子の会社が和菓子の技術や客筋を欲しがる理由なんて、ひとつじゃないだろうか。
「……あった。和菓子ブランド、起ち上げてたんだ」
サイトのリンク先で見つけたのは、昨年出来たらしい『葛城』という、別ブランドだ。サイト全体もそのページだけ矢絣の壁紙で和のイメージで作られている。
しかしよく見れば、創作和菓子、というか。和栗のパイや安納芋の焼き菓子など、洋菓子に和のテイストを加えたような商品を主としていて、やはり若い女性をターゲットにしているように思えた。
「……これ。まずいんじゃ、ないのかな」
どく、どく、どく。
心臓が、嫌な予感を察知して騒ぎ始める。こんな会社とうっかり手を結んだりしたら、花月庵が飲み込まれてしまうのじゃないだろうか。
勢いは明らかに、『葛城』の方が上だ。サイトに目を走らせながら、空いた手で口元を覆った。
脳裏に、葛城さんのあの優し気な微笑が浮かぶ。
だが今は、闇を背負った腹黒い、悪人面にしか見えなくなった。似合いそう。黒いバラとかめっちゃ似合いそう。
「……あった。和菓子ブランド、起ち上げてたんだ」
サイトのリンク先で見つけたのは、昨年出来たらしい『葛城』という、別ブランドだ。サイト全体もそのページだけ矢絣の壁紙で和のイメージで作られている。
しかしよく見れば、創作和菓子、というか。和栗のパイや安納芋の焼き菓子など、洋菓子に和のテイストを加えたような商品を主としていて、やはり若い女性をターゲットにしているように思えた。
「……これ。まずいんじゃ、ないのかな」
どく、どく、どく。
心臓が、嫌な予感を察知して騒ぎ始める。こんな会社とうっかり手を結んだりしたら、花月庵が飲み込まれてしまうのじゃないだろうか。
勢いは明らかに、『葛城』の方が上だ。サイトに目を走らせながら、空いた手で口元を覆った。
脳裏に、葛城さんのあの優し気な微笑が浮かぶ。
だが今は、闇を背負った腹黒い、悪人面にしか見えなくなった。似合いそう。黒いバラとかめっちゃ似合いそう。