艶恋婚~御曹司と政略結婚いたします~
半開きになった寝室のドアが目入り急ぎ足で近づくと、中のベッドでワイシャツの襟元を緩めた状態で腰かけていた。
「藍、おかえり」
「ただいまです。すみません、買い物に行ってて」
「謝ることじゃないよ」
彼は、いつも通り笑っていたけれど、身体を前かがみにしてひどくだるそうに見えた。
近づいて彼の額に手を当てる。
「熱い……病院は」
「行って、点滴は打ってもらったよ」
ベッドのサイドテーブルに薬の袋が置いてあった。
「とりあえず、着替えて休んでください……休めるんですよね?」
「ああ、さすがに頭が働かなくて一日だけ」
「一日だけって……」
手で触れただけでも、かなり熱い。
そう簡単に下がる熱とは思えない。
パジャマを用意して、ワイシャツを脱ぐのを手伝おうとすると、彼の手に制される。