艶恋婚~御曹司と政略結婚いたします~
数秒、彼の整った目鼻立ちを眺める。今は閉じられている目になぜか、安堵する。
何も言わず、何も考えず、彼の額に冷却シートを張り経口補給水のペットボトルを置き。
唇を噛みしめながら、寝室を後にする。
今は、考えるよりもしなければいけないことがある。
氷枕か何か、頭を冷やすものを探して、それから目を覚ました彼がすぐに薬が飲めるように、おかゆを作っておく。
無理やり胸の奥に感情を押し込めて、そうしている間に気持ちが落ち着いて、後から考えれば何か私が早とちりをしていたり勘違いだったりすることがあるかもしれない、と自分に言い聞かせる。
今、自分が明らかに平常心ではないことだけはよく理解していた。