艶恋婚~御曹司と政略結婚いたします~
あの人は、私が縁談を受けることが、花月庵を救うのだと言っていた。


本当にそうだろうか……鵜呑みにしていいとは思えない。
寧ろ、変に繋がりを持つ方が危ない気がする。


サイトで当たり前に入ってくる情報だけで安易に判断できるような事柄ではなかった。


『お前は関係ない』


事あるごとに、父は私を花月庵の経営に関わることから締め出そうとする。いい加減聞き飽きたセリフが耳に残っていて、むかっと腹が立った。


そうしてやっぱり、実家に到着して一番に父から聞き出そうとしたが、似たような意味合いの言葉が出ただけだった。


「花月庵のことは康太にこの先任せていく。お前は自分のことをしっかりやってりゃいいんだ」

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