艶恋婚~御曹司と政略結婚いたします~

ボトルの半分ほどを一息に飲んで、彼はすぐにベッドに伏せてしまう。
掛布団を少し引き上げて肩を隠し、寝室を出ようと立ち上がろうとしたときだった。


「藍……」


掠れた声がして、彼の手が私の手を掴んで引き留めた。


「……葛城さん?」


辛いのだろうか。それとももう少し飲みたい?
ベッドのすぐそばで膝をついて、彼の顔をもう一度覗き込む。


「……ずるい」


問い詰めることもできない今の状況で、彼は何も知らずに弱った自分を見せて私に甘えた。
私の袖をつかんだまま、静かに寝息を立てる彼が、すごく憎らしくてだけどほっとけなくて。
苦しいくらいに、やっぱり好きだった。



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