艶恋婚~御曹司と政略結婚いたします~

夜の間ずっと葛城さんの様子を見ながらいろんな仮説が頭に浮かび、うつらうつらとしか眠れずに朝を迎えた。


「ちょっ……本気で仕事に行くんですか?」

「大丈夫だよ、少しすっきりした。ごめん、水をもらえる?」


ベッドで上半身だけ起こしてまだだるそうな彼に、急いでキッチンのウォーターサーバーで水を汲んできて差し出す。


一息に飲み干した彼の顔色はまだ悪い。熱は微熱まで下がっているが、そんなのは深夜に目を覚ました彼がどうにかおかゆを口にして、解熱剤を飲んだのが効いてるからに決まっている。


いくらなんでも無理だ。


「ごめん、俺のスマホどこだっけ?」


ベッドから足を下ろし、立ち上がろうとしたがやはりだるいのか一度そこで息を吐く。


「待っててください」


彼のスマホは、リビングに置いてあった。
二度ほど着信があったが出られる状況ではなかったから、着信音で起こしてしまわないよう彼から遠ざけたのだ。


このまま、彼を仕事に送り出していいのか悩みながら、スマホを持ってリビングから戻る。


「ありがとう」


と、差し出された彼の手に、スマホを渡すのを躊躇った。

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