艶恋婚~御曹司と政略結婚いたします~


「だって、あの人、私にって縁談持ってきたんでしょ? だったら無関係じゃないじゃない!」


無駄だとわかってはいたものの、さすがに今回は私も食い下がる。
無関係と言われたから、と大人しく引っ込んでいていいわけがない。


だけど、やはり父は頑なに父だった。


「そんなもの受ける必要がないから関係ないと言ってるんだ」


それ以上は話す必要もない、とばかりに片手で追っ払うような仕草をされて、父がこうなるとどうしようもないことは嫌というほど経験済みだ。


腹が立って何か言ってやりたいのに、それ以上の言葉がしょうもない子供の喧嘩みたいに悪態しか出てこないので、ぐっと腹の中に飲み込んだ。


スパン!とわざとらしく大きな音で襖を閉めて、どすどすどすと二階への階段を上がる。二階の手前が兄の部屋、奥の部屋が私の自室だった。

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