艶恋婚~御曹司と政略結婚いたします~
「わ、私の寝顔!」
抗議しようとしたが、彼がスマホを耳にあて唇の前で人差し指を立てる。静かにしてという意味だ。折り返しかけなおすのだろう。
仕方なく口を噤み、大人しく電話が終わるのを待つ。
会社からなら秘書の御手洗さんだろうか。
そう思った途端、手が勝手に葛城さんの身体にしがみついていた。
彼が柔らかく微笑み私の額にキスをする。
ほどなくして電話の相手の声が聞こえてきた。
話の内容は、業務の伝達事項のようだけれど、思いがけず男性の声だった。
「ああ……わかった。PCに送っといて。後で見るよ。……ああ、飯食ったらすぐ」
……ご飯ならもうとっくに終わってるけど。
「お待たせ」
通話を終えてスマホをまたローテーブルに戻した彼は、すぐにキスの続きを再開しようとする。
「ちょ、ちょっ、待って待って! さっきの待ち受け、いつのまに撮ったんですか!」
「え? 藍が寝てる間」
それはわかってる!