艶恋婚~御曹司と政略結婚いたします~

そもそもおあいこっていうけれど、葛城さんは寝顔だってモデルさんみたいに綺麗だった。反して私のあの寝顔……撮っていいレベルじゃない。


スペックが違うのだからおあいこというのはありえない!
余りの恥ずかしさに顔が熱くなるのを感じながら怒ったけれど、彼はまったく堪えていなかった。


「あんまり嬉しそうで、ほくほくした顔でスマホ弄ってるから、邪魔しなかった」


そう言って、蕩けるような熱い目で、邪魔ばかりする私の手を拘束すると。
また、甘いキスを繰り返した。


こうしていると、悩んでいたことが本当にバカバカしくなってくるほどに私は幸せだった。
全部私の勘違いだったんじゃないかとか、夢だったんじゃないかとか。
一緒にいる時はそんな気持ちにさせられるくらい愛情を注がれていると実感できるし、私の前では仕事の顔は一切見せないから御手洗さんのことも忘れていられる。


だから、たとえパスワードがわかってしまったからといって彼の携帯を盗み見るようなことをしようとは思わなかった。

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