艶恋婚~御曹司と政略結婚いたします~
二階のサロンから少し離れた場所にジューススタンドがあり、並んだベンチで休憩もできるようになっている。


「……カツラギって、歴史は浅いはずなのに、すごい」


芦屋の一店舗から始まった会社が、一代二代でこんなに立派なビルを建てられるようになるのか、と思うと。
葛城さんが、それに加えて老舗の強みを欲しがった気持ちもわかる。受け継がれた技術と顧客がまさにそれで、ブランド力ともいえる。
これだけ大きな会社になっても洋菓子では新参だと思われれば、苦渋を飲んだこともあっただろう。


まずは二階のサロンへとまっすぐ歩き、ガラスのショーケースの中に入っている色とりどりのケーキに見とれた。可愛らしい生ケーキがたくさん並んでいる。


そういえば、お父さんとお母さんがこの間電話で、芦屋の本店でしか作ってないバームクーヘンを送ると言ってくれていたけど、いつ着くのかな。
ケーキを食べると、後で葛城さんと食事に行くときにあんまり食べられないかもしれない、と思い。


サロンはやめてジューススタンドに向かう。
たっぷりのフルーツをミキサーにかけた生ジュースをプラのカップにいれてもらい受け取ると、ベンチに腰掛けた。

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