艶恋婚~御曹司と政略結婚いたします~
『あれから葛城とどう? ちょっとは調べる気になった?』


送られたメッセージを見て、眉根を寄せる。
柳川さんはやっぱり、私と葛城さんを仲違いでもさせようとしているのだろうか。だからあんなとこで待ち伏せてまで、私に不安を持たせるようなことを言ったに違いない。


『別に何も調べるつもりはありません』

「へえ、いいの? 能天気な嫁と外部の女、ふたりとも上手く囲うつもりかもしれないよ」

「えっ?」


ぞわっ!
と一気に鳥肌が立つ。振り向くより早く、私の座るベンチの隣にスマホを操作しながら男の人が陣取った。


「……柳川さん!」

「葛城と喧嘩したりしなかった? 藍さん、気が強そうだから詰め寄るくらいしたんじゃないかと思ったのに」


屋内だというのに帽子を目深に被った彼は、少しだけ顔を上げてにこりと笑って言った。
先日のような暗い目はしていなかったが、笑顔で言うセリフではないと思った。
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