艶恋婚～御曹司と政略結婚いたします～

「葛城社長は、花月庵を買収したきっかけをなんと言っていましたか」

「え……葛城さんの方からおばあ様に声をかけたって……そのあと、柳楽堂に強引に買収したって話で……柳楽堂の事件に巻き込まれないようにしてくれたのだと、私は思ってて」


そこから何か、隠してるということだろうか。
思いもよらないところへ話が飛んで、頭がついていかない。


「間違い、ではないですが……絶妙に隠されていますね」


安達さんが、くすりと苦笑いをする。


「……春の茶会で葛城の方からお祖母さまに話しかけたのは本当のようです。その時、顧客と技術の共有を条件に資金援助をしてほしいという話がありました。あなたとの縁談は花月庵の名前が消えないための保険です」


安達さんの言葉は、私には信じがたいものだった。