艶恋婚~御曹司と政略結婚いたします~

「……今日。お義母さんから結婚のお祝いをいただきました。夫婦茶碗とバームクーヘンと、一緒にこのカードが入ってました」

「……あー……」


文字を目で追って書かれている内容を理解したらしい。ばつが悪そうにカードから視線をそらし、泳がせる。


「本店のバームクーヘン、人気だけれど保存料を入れてないからあまり日持ちがしないそうですね」

「ああ、うん。花月庵の本店限定の練り切りと同じだよ。その代わりとことん原材料と味にはこだわってるね」

「はい。美味しそうです。私ひとりでは食べきれないだろうから小さめのにしておきました、って」

「それがいい。バームクーヘンは結構、腹が膨れるしね」


そよそよ、と視線を泳がせたまま、彼はするりと私の横を通り過ぎ寝室のドアを開ける。
逃がすものかとそのあとを追いかけて、私がそのカードの中でショックを受けた内容を読み上げた。

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