艶恋婚~御曹司と政略結婚いたします~

「子供には手作りしてあげたい。だから圭さんが食べさせてあげて」


そう言うと、彼は数秒固まったあと、大きく目を見開いた。私はちょっと照れ笑いを浮かべて、お腹を両手で抑えてみせる。


「……藍!」


次の瞬間には、私は彼の腕の中に強く抱きしめられていた。


目を閉じれば、すぐにも思い浮かんでしまう。
それはそう、遠くない未来の話。


幼い子供を膝に乗せ、私の手作りのお菓子を与えてやりながら、きっと彼は優しく微笑んでいるだろう。
自分は甘いものが苦手だけれど、毎日のように食べ続けた頃があったと懐かしむように話して聞かせているかもしれない。


きっと私は、それを聞いてまた拗ねて、次には笑い話になって。
こっそりと子供の目を塞いで、キスを交わす。


砂糖菓子より甘いキスに溶かされながら、私は永遠に、あなたのてのひらの上にいる。


END



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