艶恋婚~御曹司と政略結婚いたします~
この寝顔の頃は、まだそうでもなかった。
なのに、日に日に、増してる気がする。
画像の中の彼女の寝顔に、指を這わせる。
やわらかな丸みの頬は、触れると目で見る以上に柔らかい。
頬だけでなく、さらりとした触り心地の肌のどこもかしこも、マシュマロのようで。
上気すると桜色に染まる。
それがなんとも、艶っぽい。
「……社長」
表情はまだあどけなさが残るのに、日に日に色気は増して、外に出すのが気が気じゃない。
だからつい、いつだったか藍が俺の秘書をやりたいなんて可愛らしいことを呟いた時も、はぐらかしてしまった。
一緒にいられる時間が増えるのはいいが、気が散って仕事にならない。
それに四六時中傍に、というわけにはいかないのに……それくらいならやはり家に居てもらった方が……
「社長!」