艶恋婚~御曹司と政略結婚いたします~
今すぐ、ではなく一週間と少しの猶予が今ここであたえられたのは、最初から用意されていた彼の善意だったのだろうか、それとも何か気が変わったのだろうか。
ざあ、と瞬間吹いた風が、草木の香りと遠いざわめきとを運んでくる。風がやみ、最後に残ったのは葛城さんの仄かな香水と、どこか切なげな優しい微笑みで、それがなぜかとても胸の中に印象深く残っていた。
愛だとか恋だとか、結婚するのに必要なはずの甘やかな話は彼の口から一言も出てこなかった。
だからこそある意味、私はこの話を冷静に、自分の将来として考えることが出来たと言える。
これまで生きて来て、ささやかな憧れ程度のものしか恋の経験が無い私には、その方がまだ考えやすかった。
祖母が政略結婚して家を守ったように、私にもそんな機会が訪れたということだ。
大体、普通に恋をしていつかプロポーズをしてもらって結婚をして、という流れが私にこの先訪れただろうか、と思うとなんともいえない。
ざあ、と瞬間吹いた風が、草木の香りと遠いざわめきとを運んでくる。風がやみ、最後に残ったのは葛城さんの仄かな香水と、どこか切なげな優しい微笑みで、それがなぜかとても胸の中に印象深く残っていた。
愛だとか恋だとか、結婚するのに必要なはずの甘やかな話は彼の口から一言も出てこなかった。
だからこそある意味、私はこの話を冷静に、自分の将来として考えることが出来たと言える。
これまで生きて来て、ささやかな憧れ程度のものしか恋の経験が無い私には、その方がまだ考えやすかった。
祖母が政略結婚して家を守ったように、私にもそんな機会が訪れたということだ。
大体、普通に恋をしていつかプロポーズをしてもらって結婚をして、という流れが私にこの先訪れただろうか、と思うとなんともいえない。