艶恋婚~御曹司と政略結婚いたします~
「誰が出席するかは事前に調査済み。それよりも、他のメーカーからの注目に気を配って欲しい。当然、俺と君が一緒にいれば勘繰った連中から質問されるだろうから、適当にはぐらかしつつ、否定もしすぎないように」
さらりとそんな高度なことを言ってくれる。
「そんな上手くいかないですよ!」
「簡単だよ。笑って恥ずかしがりながら、左手で口元を抑えればいい」
「……左手で」
「左手でね」
いわずもがな、今私の左手薬指には、大きな石のついた指輪がある。
言葉では肯定も否定もせず、これ見よがしに指輪を見せびらかせ、ということだ。