艶恋婚~御曹司と政略結婚いたします~
会場に入ってから、三十分、その間に何回似たようなやりとりがあっただろうか。


「何か食べる?」


ようやく少し休憩らしい。ふ、と息を吐いて少しだけ気を抜いた。


「ローストビーフ、美味しそう」


テーブルに並ぶ料理はどれも美味しそうだけれど、ローストビーフの傍には常にシェフが立っておりその都度肉を切り分けて皿に乗せてくれる。マッシュポテトも添えられて、さっきからずっと気になっていた。


正直にそれを希望すると、彼はくすくすと笑う。


「緊張してるかなと思ったけど、肝が据わってるね」
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