艶恋婚~御曹司と政略結婚いたします~
「してますよ緊張。でもお腹はすくんです」
そう言い返したが、彼ははいはいと受け流しながら私の分とふたつ、ローストビーフのお皿をもらってきてくれた。
グレービーソースとクレソンが飾られて、色合いもとても美しい。
受け取ってすぐにひとくち含むと、見た目以上に味は絶品だった。
やばい、どうしよう。さすがにおかわりをしたらがめついと思われるだろうか。
もったいなくてゆっくりと味わっていると、視線を感じてローストビーフへ俯かせていた顔を上げた。すると、柔らかく微笑みながら葛城さんがじっと私を見ていたのだ。
「な、なんですか」
「いや。やっぱり綺麗だと思って」
突然そんなことを言われて、ぐっと喉が詰まりそうになり、どうにか飲み込む。
急に何を言い出すのかと、かあっと顔が火照りはじめた。