Jewels
「どうすれば、兄様と姉様はうまくいくと思う?」

「許婚なんだから、何もしなくてもうまくいくんじゃないか?お前が邪魔さえしなければ。」

「私は邪魔なんてしない。姉様を応援したいの。」

「…まるで紅玉様が片想いをなさっているような口ぶりだな。」


琥珀の言葉に、翠玉は押し黙る。


「…金剛は、紅玉様のことを嫌っているわけじゃないさ。あいつはまだ子供っぽいところがあって、照れているだけだと思う。それに、石彫りをしている方が単純に楽しいんだろう。」

「そうなのかしら…。」

「そうだよ。」


翠玉は不安げな面持ちで、琥珀から眼をそらす。


「…琥珀…私、怖いのよ…。」

「何が?」


琥珀は翠玉の態度をおおげさに感じていた。


「兄様の心の中には、私の居場所は無い。そして、姉様の居場所も無い。兄様の心は、綺麗な石のことでいっぱいなんじゃないかって、思ってた。」


琥珀は苦笑いをして頭をかく。


「まぁ、そうかもな。あいつの場合、まだ女より石なんだろう。」

「そうよね…でも…。」


翠玉の頭の中で、藍色の髪が揺れた。

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