苦いアメ
気にしないでおこうと思っていても気になるもので。
私、一体何をしでかしたんだろう?
ミスはしてないはず。
どうしよう…不安になってきた…
激しくドキドキなっている胸元を抑えて、深呼吸をした。
社長室に着くと、事務的な挨拶をして中に入る。
私の視界に入ったのは、社長と一人の男性だった。
くせなど無縁そうなさらさらの黒髪に、少し目にかかった前髪。その前髪から覗かせる鋭く光る切れ長の目、高い鼻で鼻筋が通っており、形の良い唇に程よく焼けている綺麗な肌。
驚くほど綺麗な男性だった。
目を奪われるってこういうことなんだ、とこの時わかった。