苦いアメ
ムッとした。
拒否権なんてない?そりゃありませんよ!
ただの秘書ですもの。
だからってそんな言い方する!?

内心イラッとしたけど、それを出すほど子供じゃない。


「橋本くん、やってくれるね?」

もうNOを言える空気じゃなくなった。
私は断念した。


「わかりました。」


私がそう言った後、社長は心底安心したのだろうか。
先程まで強ばっていた顔が緩まり、優しく微笑んだ。


「では、失礼します。」


社長室から出ると、深いため息が出た。

…絶対、おかしい。
こんなのめちゃくちゃよ。


「納得いかない顔してんな」


振り向くと、春木さんが意地悪な顔をして立っていた。


< 6 / 15 >

この作品をシェア

pagetop