Voice -君の声だけが聴こえる-
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五人はその後も事件についてしっかりと話し合い、会議を終えた傑は詠斗からの頼み事を叶えるべく颯爽と自宅マンションを後にした。詠斗達三人の高校生もそれぞれ帰宅すると穂乃果に告げると、「残念ね、またカレー食べにいらっしゃい」と本当に残念そうな顔で見送られた。
「じゃあな、詠斗」
マンションの駐輪場から自転車を引っ張り出しながら、巧は片手を上げて自転車に跨った。
「巧、紗友のこと家まで送ってやってくれないか?」
「おいおい、何言ってんだよ? そりゃオレの役目じゃねぇだろ」
「はぁ?」
詠斗が睨むと、巧からニヤリと意味ありげな笑みが返って来た。
「とにかく、お前の兄貴から連絡があったら知らせてくれ。じゃあなー」
「おい、待てって……!」
詠斗が引き留める声に振り向きもせず、巧は瞬く間に遠く小さくなってしまった。朱に染まり始めた薄青の空を見つめ、詠斗は小さく息をつく。
「じゃあな、詠斗」
マンションの駐輪場から自転車を引っ張り出しながら、巧は片手を上げて自転車に跨った。
「巧、紗友のこと家まで送ってやってくれないか?」
「おいおい、何言ってんだよ? そりゃオレの役目じゃねぇだろ」
「はぁ?」
詠斗が睨むと、巧からニヤリと意味ありげな笑みが返って来た。
「とにかく、お前の兄貴から連絡があったら知らせてくれ。じゃあなー」
「おい、待てって……!」
詠斗が引き留める声に振り向きもせず、巧は瞬く間に遠く小さくなってしまった。朱に染まり始めた薄青の空を見つめ、詠斗は小さく息をつく。