Voice -君の声だけが聴こえる-

 その日の昼休みも、詠斗は屋上でひとり穏やかなランチタイムを過ごしていた。

 先週よりも少しだけ暖かさが増し、こんな感じですぐに夏がやってくるんだろうな、などとぼんやり考えながら、遠くの空にゆったりと流れる薄い白雲を眺めていた。

 傑に聞いた話によれば、神宮司隆裕と草間千佳はそれぞれ素直に罪を告白したらしい。

 神宮司が美由紀と猪狩華絵撲殺に使用した凶器は自宅にあったレンガで、庭に埋めたとの供述通りに発見された。

 千佳が仲田翼を刺したのはペティナイフ。こちらもまだ処分される前で、千佳の自室に隠すようにして保管されていた。勢いをつけて心臓をひと突き。なかなか勇気のあることをしたものだと詠斗はうっかり感心してしまった。

 今後、二人がどのような道を歩むのかはわからない。この先の人生ではその道を踏み外すことのないようにと祈るばかりだ。
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