Voice -君の声だけが聴こえる-
「……っ」

 おかしい。
 聞きたいことが山ほどあるのに、息が詰まって声が出せない。

 いつだったか、美由紀は言っていた。この先のことは天命に従うしかないのだと。

 犯人が捕まって事件が解決し、美由紀の願いは叶えられた。
 もう今までのように、誰かを求めて叫び続ける必要はない。

 この世を漂う理由がなくなった。だから、美由紀は次の行き先へと導かれていくのだ。

 ――ということは。
< 219 / 247 >

この作品をシェア

pagetop