Voice -君の声だけが聴こえる-
   *


 放課後。

 まっすぐ校門に向かって歩いていると、誰かが駆け寄ってくる気配を感じた。次の瞬間には肩を叩かれていて、振り返るとそこには紗友の姿があった。普段ならバスケ部の練習のために体育館へと向かっているはずなのだが。

「ねぇ、さっきの話の続きだけどさ」
「さっきの話?」
「その……美由紀先輩のこと」

 あぁ、と詠斗は短く答える。

「言ったろ? もう少し状況がはっきりしてきたら話すって」
「うそ。詠斗がそう言って逃げるときは、いつまで待っても話してくれないもん」

 私を欺けると思ってるの? とさっきも聞いたようなセリフが今度は顔に書かれている。詠斗はため息をついた。

「……先輩を殺した犯人を見つけてほしいって」
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