Voice -君の声だけが聴こえる-
 美由紀の願いを伝えると、紗友は驚いた顔を見せた。

「ち、ちょっと待ってよ! 詠斗が聴いたっていう先輩の声、そんなこと言ってたの?!」
「そう。なんでも、お友達が警察に疑われているのが気に入らないんだとか」

「お友達って?」
「なんて言ったかな?……松村さん、だったっけ」

「松村? 松村知子先輩のこと?」
「またお前の知り合いかよ……」

「知子先輩は女バレの部長。美由紀先輩とは二年の時に同じクラスで、女バレ内でもあの二人は特に仲が良かったはず」

 同じ学年の人間関係ならともかく、一学年上の諸先輩方に関するそういった情報は一体どこから仕入れてくるのか。
 訳知り顔の紗友を前に、詠斗はくしゃりと頭を掻いた。
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