Voice -君の声だけが聴こえる-
第二章
1
詠斗が殺された創花生が誰であるかを知ったのは、翌日登校してすぐのことだった。
学校中が騒然とした雰囲気に包まれていて、あちこちで生徒達が肩を寄せ合っては言葉を交わしているようだ。
「今度は三年の×××先輩だって」
たたっと机と机の間を縫って詠斗の席へと近付いてきた紗友が新たな被害者の名前を教えてくれようとしたのだが、どうやら上級生の名前らしく、何と言ったのかわからなかった。
「な・か・た!」
眉間にしわを寄せてみせると、紗友は一文字一文字区切りながらその名を口にし、指で机にひらがなを書いてくれもした。
「なかた?」
「そう、三年の仲田翼先輩」
今度は漢字でその名前を机に書く。なるほど、仲田翼か。
「……誰?」
「いやいやいや、さすがに知ってるでしょ? あの不良集団のボスだって」
あぁ、と詠斗はなんとなくその顔を思い浮かべた。あの人、仲田って名前だったのか。
「胸を刺されたんだって……怖いよね」
そこまで詳しく知っているのも十分怖いと思うのだが。というか、そんな情報を一体どこから仕入れているのか。
「美由紀先輩と仲田先輩、全然繋がりなさそうなのになぁ……確か二年の時のクラスも違ったはず」
「まだ同一犯と決まったわけじゃないだろ? たまたま創花生が続けて被害に遭っただけかもしれないし」
「あり得る? そんなこと」
「これが三人、四人と続いているのなら関連を疑う他にないだろうけど、今の段階では偶然で押しきれないわけじゃない」
「でも……」
紗友は食い下がろうとしたが、チャイムが鳴ったのだろう、ちょうど担任教諭が姿を現したのでそれ以上何も言ってこなかった。
学校中が騒然とした雰囲気に包まれていて、あちこちで生徒達が肩を寄せ合っては言葉を交わしているようだ。
「今度は三年の×××先輩だって」
たたっと机と机の間を縫って詠斗の席へと近付いてきた紗友が新たな被害者の名前を教えてくれようとしたのだが、どうやら上級生の名前らしく、何と言ったのかわからなかった。
「な・か・た!」
眉間にしわを寄せてみせると、紗友は一文字一文字区切りながらその名を口にし、指で机にひらがなを書いてくれもした。
「なかた?」
「そう、三年の仲田翼先輩」
今度は漢字でその名前を机に書く。なるほど、仲田翼か。
「……誰?」
「いやいやいや、さすがに知ってるでしょ? あの不良集団のボスだって」
あぁ、と詠斗はなんとなくその顔を思い浮かべた。あの人、仲田って名前だったのか。
「胸を刺されたんだって……怖いよね」
そこまで詳しく知っているのも十分怖いと思うのだが。というか、そんな情報を一体どこから仕入れているのか。
「美由紀先輩と仲田先輩、全然繋がりなさそうなのになぁ……確か二年の時のクラスも違ったはず」
「まだ同一犯と決まったわけじゃないだろ? たまたま創花生が続けて被害に遭っただけかもしれないし」
「あり得る? そんなこと」
「これが三人、四人と続いているのなら関連を疑う他にないだろうけど、今の段階では偶然で押しきれないわけじゃない」
「でも……」
紗友は食い下がろうとしたが、チャイムが鳴ったのだろう、ちょうど担任教諭が姿を現したのでそれ以上何も言ってこなかった。